世界選手権・女子
あいだに国別対抗戦の感想が挟まってますが、世界選手権再開しますよぉ。
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世界選手権(ロサンゼルス)
女子
結果はこちら
・キャンディス・ディディエ(フランス) 122.08(22位)
SP:「Blues for Klook」(未放送) FS:「トッカータとフーガ・二短調/My Memory」
3回目の出場。04/05シーズン以来久しぶりのフリー進出を決めた記念すべき大会でとんでもない災難でした。3F、3Lz+2Tときて3つ目のジャンプ、3Tで着氷体勢に入るタイミングが遅れて、フリーレッグのトウを氷に引っ掛けてしまい、バランスを崩して転倒、フェンスに叩き付けられる格好で、わき腹と肩を強打。演技を一時中断する事態に。なまじ回転自体は足りてただけに痛し。
何とか氷の上に戻ってきて演技を再開するも、この時点で転倒と中断でディダクションが-3.00。このあと、2A+2A+SEQを2回やってしまって2Aの回数制限(3回まで)に引っかかり、2回目の点数が無効に。さらに最初に失敗した3Tにもう一度挑んだため、4つ目のコンビネーションジャンプ/シークエンス、と判断されて点数が無効になったうえに、転倒してさらにディダクション-1.00。結果的に、ジャンプで大幅に点数をロスしたことになってしまいました。が、スピン、ステップで割と落ち着いてレベルを取りにいけたので、思ったほど酷い点数にはならなかったのが救いでしょうかね。
かなりかぼそーーい選手ですが、根性見せたるねんという姿勢は胸に迫るものがありました。ロスのお客さんたちも立ち上がって称賛。これだけ満身創痍の状況で、それでもジャンプの回転不足がひとつもなかったのは立派りっぱ。
・トゥバ・カラデミル(トルコ) 124.31(20位)
SP:「オーシャンズ13」(未放送) FS:「ラタトゥイユ」
私の念が届いたのか(笑)めでたく3シーズンぶりにこちらもフリー進出を決めたカラデミル。フリーの「ラタトゥイユ」ってなによ、と思ったら『レミーのおいしいレストラン』のサウンドトラックだとか。はー、道理で食いもん。
彼女はこれまで3Fをプログラムに入れてきましたが、エッジがアウトに傾く癖があって、加点をもらえないことを考慮したのか、ショートプログラムでは3Lzに変更して望みました。だからといってどの選手も、「フリップがアウトになる=ルッツが跳べる」というほど単純ではないようで。カラデミルにとっても、フリップはエッジが危ない、かといってルッツの跳び方ではいまいちフィーリングが合わないといった様子で、いろいろとジレンマがある模様。事あるごとに構成を入れ替えて挑戦しているようですが、あんまりしっくり来てないみたいですね。
プログラム自体は、カラデミルのユニークでコケティッシュな雰囲気が引き立っていて、「さすがブラウニング先生」という感じなんですが、何気に後半のジャンプがほとんど回転不足だったりして、演じきるにはもう少しカラデミル本人のスタミナが必要かも。前半のメチャ速いステップシークエンスでほとんど体力使い切ってるんじゃないか?
・エレーナ・グレボワ(エストニア) 140.02(16位)
SP:「我が母の教えたもう歌」 FS:「ピアノ協奏曲イ短調」
我が家ではもはや「由美かおる2世」扱いされているグレボワ。かおるさんかおるさんて馴れ馴れしく呼ばれてます。
FSは「彼女の日」ではなかった。代わりに、SPは語り継ぎたい美しさ。まず最初の3T+3Tでしっかり加点1.00。かおるさん攻めてます。今日はとにかくスピンが好調。いつもと違ってほとんどトラベリングもなく、軸の安定感と回転速度を維持したいいスピンでした。FSSpのスムースなポジション変化は特に素晴らしい。なのにGOEはゼロ。なんで?
FSでは、解説の千香ちゃんが衣装を変えたのではないか? といってましたが、たぶんこれは変えたんじゃなくて、プログラムごと昨シーズンのものに戻してますね。2回のセカンドトリプルを自重して1回のみに抑えているとはいえ、7つのジャンプのうち、コンビネーション3回を含めた5つのジャンプが後半に置かれているという、ヒジョーに挑戦的な内容でした。が、全体に歯車が噛みあわず。かおるさん頑張って。
・イワナ・レイトマイェロワ(スロバキア) 147.41(14位)
SP:「ユノーナ&アヴォシ」 FS:「Nostalgia」
わりと調子の良かったヨーロッパ選手権からそのままのコンディションを保てたのか、SPとFS、両方でいい流れに乗った演技が出来たのでは。特に難しいことをやっているわけではないのに、間がきちんと計算されているのか、走って跳んでというイメージを受けませんでした。楽曲と呼応したプログラム作りが心がけられていて好感。
ただ、そのいい流れが、少しだけ間延びしてしまう所もありましたね。フライングスピンのバリエーションが苦手なのか、FCSpのエントランスではバタフライなどの難しい技をいれずに普通のエントランスにして、その代わりに「ノーマル8周→チェンジエッジ→ハーフビールマン→ドーナツ」でレベル4を狙う構成になっていました。しかしあまり回転の速いスピンではないので、これだけ回転数が多いと流れが間延びする原因になってしまう・・・ので、バタフライを習得するなり、チェンジエッジしながら同時に難しい姿勢をとるなり、何かしら回転数をすっきりさせる工夫がほしいかも。
ルッツ・フリップ・ループの3つのジャンプの習得も急がれますが、若い選手なんだし、これからいろいろな技を見せてほしいですね。
コストナーは見事に自爆、ポイキオ姉さんも少しばかり痛々しい出来で、なんともコメントをはばかられるので省略。来年思う存分ハッスルしてくださいまし。
・アリッサ・シズニー(アメリカ) 159.78(11位)
SP:「白鳥」 FS:「ドクトル・ジバゴ」
SPはもうこれが標準 シズニーに転倒2回は必須ですと言わんばかりで、もはや別の意味で安定してます。かといって、これだけ転びまくっても特に深刻な故障につながったという話を聞かない、何気に丈夫なシズニー。
それにこれだけジャンプを失敗しておいて50点台半ばを維持しているのもシズニーのなせるわざ。失敗した2つのジャンプをクリーンに決めていたとしたら、GOEゼロと仮定しても技術点は37.30。5コンポーネンツと合わせると62.58で6位までハネ上がる。でもこんな皮算用がさっぱりアテにならん所もまたシズニー。
FSのほうは、3Loの回転不足と3Tのダブりだけにミスを抑えて、フリーだけなら8位。コンビネーションジャンプが不発に終わっても、すぐさま別のジャンプに付けて取り返してしまう。シズニーにも確実に逆転ファイターの素質が芽生えつつあります。ステキ。
観客席はというと、完全に得点は2の次モード。とにかくシズニーLOVEな空気を全身で主張しまくっていて、これまたむっちゃくちゃシンパシーを覚えますね。
・エレーネ・ゲデヴァニシヴィリ(グルジア) 162.48(10位)
SP:「キャバレー」 FS:「ラテンメドレー」
この人ならではの粗さはありつつも、上手くまとめたなと。月並みだけど、やっぱりコーチを替えて気分が一新されたのがプラスに働いたのかなと。体のキレとジャンプの正確さがないと一気に色褪せてしまうプログラムなだけに、このところ痛々しい演技が続いていましたが、シーズン中にいいものが見せられたのは良いことです。
FSでは、SPで見せられなかった3T+3Tを決めると、一気に波に乗って最後まで完走。サルコウジャンプの調子がいまひとつ良くなかった以外は、かなり高い水準でまとめましたね。トリノオリンピックあたりの、ハツラツとした中にも少しミステリアスな雰囲気があった頃に比べると、もう完全にノーテンキなねーちゃん化してるのがちょっと寂しい(笑) でも本人の性格からすると、こういうプログラムのほうがフィーリングがよさそう。それぞれにそれぞれの魅力ですね。
そして、フリーの得点が100点を超えたのは、意外や今回が初めてなんだとか。
・サラ・マイアー(スイス) 163.37(9位)
SP:「Samba/Brazilliance」 FS:「黒のラフォリア/秋の紅」
去年一年間滑っていたFSのプログラムに比べると、SPのほうではどうしても滑り込みの足りない部分があったかなと。腰の故障を考えると、どうしたって仕方ないことではあるんだけど。
今までのイメージとずいぶん違う路線なだけに、どこかノリ切れてないぎこちなさが残ってしまっていて残念です。もし今年1年滑り通していたら、どんなサンバに仕上がったんだろう。
FSは去年の青い衣装から一転して、焦げ茶と白のものすごいコントラストで登場。渋いわぁ。もちもちの木に火が灯りそうな配色。 3Sのスッポ抜けと、SpSqとFSSpの取りこぼしを除けば、ケガを抱えた状況下で、最善を尽くしたプログラムだったんじゃないかと。同じプログラムでも、去年のバージョンと比べると、終盤のSlStの時間がずいぶん長くなっていて、今シーズンいかにステップが重要視されているかを実感。
無事に滑り終えたあとは、感極まって涙。今年は上位以外の選手に「根性見せたんねん」的なスピリッツが満ち満ちていて面白い。
・村主章枝(日本) 164.58(8位)
SP:「Fanfan」 FS:「秋によせて」
「もっとやれた筈なのに」とガックリしていたら、まさかの肋骨骨折のハプニングとはつゆ知らず。ここにもいましたかファイターが。
SPでは、今まで右足でまわっていたLSpを、左足に戻していたことに注目。右足でまわってもほとんどレベル2止まりだったので、GOEのことも考えると結局普通にまわるのが一番点が稼げる、という判断なのかな。ただし今回はレベル1止まり。サイドウェイズが回転不足だったか、キャッチフットのポジションが認定されるには不十分だったってことかな、と考えてみる。FSSpは相変わらず高い跳躍でホレボレ。
四大陸からちょこちょこ変えてきた部分が、あまり得点につながってくれなかった印象を受けました。解説の千香ちゃんも相手が身内なだけに微妙にダメ出しモードに。というかどうコメントしたものか戸惑ってる様子。
FS。昨日に比べるとジャンプに高さも幅も出ていてキレイ。ただ懸念していた2回目の3Fがやっぱりコンビネーションにならなかったのが厳しい。調子のいい1回目のフリップにコンビネーションを付けるほうがいいんじゃないかとずーっと思ってるんですが。来年は構成を変えるなり、きちんと跳べるように筋力強化するなり、いろいろ考えてくるんじゃないかと思うので、まあ静観してみようと思います。
とりあえず今年の世界選手権は、姉さんらしい伸びのあるスケーティングがまた十分堪能できたことが一番うれしかったかなーー、と。姉さんはいつも「スケート技術」の点数がわりと高めに出て、その代わり「つなぎのムーブメント」の点数が他の選手に比べて割合低く留まることが多いですが、私は姉さんのあのスケーティングのテンポ感がとても好きなので、出来れば無理にステップを挟み込むようなことはせずに、今のままのスタイルを貫いてほしいと思います。たとえ得点に反映されなくてもね。
・アレーナ・レオノワ(ロシア) 168.91(7位)
SP:「Al Andaluz」 FS:「La Leyenda del Beso」
2Aはスパイラルからターンを挟んで。苦手のSpSqはフロントフットのポジションをメインに据えて、硬さを目立たせない工夫でクリア。なかなかよく計算されたプログラムです。ジャンプ以外のエレメンツは全部レベル3なところはさすがにまだジュニア上がりといった感じでちとアレですが。
FSはジャンプ3つ終わったあたりで、またしてもあのがばーーーーっていう笑顔。もしかしてアレ振付けの一部かなんかですか。SpSqの構成がSPと全然違っていて面白い。前向きでハーフビールマン→チェンジエッジしてアラベスク型→後ろ向いてまたキャッチフットの順番で、SPの時よりも体の硬さが強調される構成になっちゃいますね。 アラベスクのポジションはみどり様とタメ張れる低さ。GOEもゼロでした。今後の課題ですね。
演技自体は3Lzがツーフットだった以外はノーミス。いつも以上に演技に勢いがあって、ヨーロッパ選手権の時の爽快さに加えて迫力が増してました。ロシア女子の原動力は、やっぱりショートカット。
・ラウラ・レピスト(フィンランド) 170.07(6位)
SP:「幻想の海」 FS:「Don Juan DeMarco」
SPは、滑り自体にいつもの伸びが足りなかったかもしれませんねー。普段なら考えられないようなところでバランスを崩したりして、足元をコントロールできていなかったように感じました。たまたまトップ選手の集団の直後の順番、しかも相当な熱狂を引き起こした演技のあとに出て行かなければならなかったわけで、もともとそんなにメンタルが強い選手でもないだけに、本人的にも相当やりにくかったんじゃないかと。
そして何の因果かFSは最終グループ最終滑走、しかも前半の4人が人外魔境かと思うような点数を叩き出し、観客も熱狂し疲れてはや燃えカス状態、おまけに直前のコストナーは見事に撃沈。この状況で100%やれゆわれてもごめんアタシ無理、と、普通の人なら思うはずですよ。
3T+3Tは2T+2Tに、3Loは転倒。課題の3Lzがあやういながらも決まっただけにちょっともったいなかったな。後半はよく盛り返しましたよ。これぞアスリートって感じで。ただトップ選手のグループに技術面でもメンタル面でも追いつくには、3T+3Tをもっと安定させる必要があると思います。
でも樋口地蔵尊も説いてオラレルとおり、プログラム構成の妙というか、きちんと点の出るプログラムだなと思います。ヨーロッパ選手権に続いて58点台をキープできたのは収穫だったんじゃないかなと。でも地蔵尊も「地味なんだけど華のある選手」って、「地味なんだけど」って前置き、あんまり何度も言わんといてあげて。
・レイチェル・フラット(アメリカ) 172.41(5位)
SP:「ティファニーで朝食を」 FS:「ロマンティック・ラプソディ」
SPでは3Fの着氷でバランスを崩してコンビネーションのはずが単独に。その後落ち着いて3Lzのあとに+2Tをプラス。彼女たち北米勢はこうしたとっさのミスの対処の仕方について、かなり訓練を受けてきているであろうことが、一番の強みでしょうね。冒頭の2つのジャンプ以外は、すべてのエレメンツでプラスのGOEを獲得、加えて5コンポーネンツも6.40~6.90をそろえて、初めて26点台をマーク。
FSは去年のプログラムに戻して。解釈の難しい音楽を自分なりに分析して乗りこなせていたと思うんですが、スピンのミスで点を伸ばせなかったのが心残りですね。
FSでは、1.単一姿勢 2.フライング 3.コンビネーション の3つのスピンが要求されます。普段フラットは、
- FCSp → フライング
- CCSp → 単一姿勢
- CCoSp → コンビネーション
という構成で組んでいます。ところが、何故か今回に限っては、真ん中のCCSpをCoSpに替えてきたため、
- FCSp → フライング
- CoSp → コンビネーション
- CCoSp → 単一姿勢でない(要件外)
という判定を受けてしまい、最後のスピンが無効になりました。
CCSpのレベル4は3.2点、CoSpのレベル4は3.0点ということで、基礎点も下がるのに、どうしてこんな選択をしたのかという疑問が残るには残りますが、とにかく複雑きわまる新採点方式、選手やコーチの側でさえもルールを読み違えることがあるのは、我々ニッポン人は織田将軍の一件でよーーーーーく理解したはずですね 演技中に完璧な計算を求めるのは酷ってもんです。ええ。
とまれ、全体的には3F+2Tの回転不足以外は目立ったミスなくフィニッシュして大喝采。正直エレメンツ自体はまだまだ練度に欠けるきらいは否めませんがね、そういう足りない部分を優雅なプレゼン能力でカバーできるのが◎
・浅田真央(日本) 188.09(4位)
SP:「月の光」 FS:「仮面舞踏会」
とにかく3Lzの失敗のことばかりが取り沙汰されたSPでしたが、その他に目を向ければ、世間のがっくり具合ほど悪い演技ではなかった筈。翌日のFSに比べれば、まだよっぽどスピードを感じたし、何より今年初めて3F+3Loのコンビネーションが認定されるだけの勢いはあった。そしてLSpはレベル3に留まったとはいえGOEが+1.10、シズニーの次に高い評価もらってます。その勢いを3Lzにも持ち込むことが出来ればよかったんだけど。
FSは、パワーダウンしましたね。2度めの3Aが回転不足で転倒、後半の3F+2Loにも回転不足がありました。「考えすぎている」という意見もありましたが、たしかに今シーズンの後半は、常に揺らいでいるような感じはありましたね。「矯正中・挑戦中の技なんだから、失敗して当たり前」と割り切って次にいければ理想的なんですが、その失敗が、あとの演技に影響を及ぼしてしまう部分が、最近はちょっと多かったかなと。特に今回のFSは、出てきた時からもう疲れてる? と思ってしまうような雰囲気で、演技中もかなり早い段階で疲労が来たように見えました。
ただ、今シーズンは結果を求めつつも、根本的にはどれだけ苦手を克服できるか、どれだけ自分を追い込めるか、という実験精神がテーマになっていたと思うので、今回のような結果はある意味で想定の範囲内というか、それほど落胆するものでもないのではないかとも思います。4分間でどれだけ難易度の高いコンテンツを詰め込めるか、そして自分の体力で、どこまでプログラムを乗りこなせるかという実験。そしてこの実験はどういう結果が出ても成功とか失敗とかいうものではありません。大事なのはこの結果を踏まえて、来年どう対応していくかです。
SPの3Lzは「実験」というよりはまあ「訓練」ですが、こちらのほうはもう解決策はひとつ提示されてます。国別対抗戦で成功させた3A+2T。もちろんオフシーズン中にルッツの矯正を完了させるのもいいですが、今年予想以上に手こずったのを見ると、オリンピックまで時間もないこの状況下では、得意なエレメンツをより磨いていく方向にシフトしたほうが確実でしょうね。マダム・タラソワも「来年は冒険しない」といってオラレルようですし。
・安藤美姫(日本) 190.38(3位)
SP:「The Chairman's Waltz」 FS:「交響曲第三番オルガン付」
大会通してとにかく余裕が感じられましたが、特にSPのほうはそれが顕著でした。一番目に付いたのがSpSqの姿勢。今まで、とかくバランスを崩す原因になっていた2つ目のハーフビールマンのポジションを、これまでの上体をぐっと起こす姿勢から、ほぼ水平まで倒した姿勢に変えることによって、安定感を高めてます。スピンは今年、シーズン通してかなり安定してましたが、今回はさらによかったと思います。ただ、つなぎの滑りの評価がもうひとつ上がりきらないのも相変わらずで、3Fが高さと飛距離の割に点数を抑えられたのも、エントランスのコネクティングステップが少なかったのが原因かなと。
そしてスタンディングオベーションのFS。こちらも勢いと安定感、両方取り合わせた演技で素晴らしかったと思います。中盤の4連続ジャンプの振付けが物足りないと解説陣に指摘されてました。まあ確かにそうですが。他が・・・特に後半部分の気迫が素晴らしかったので、あんまり気にならないですね。そしてこちらのほうでもスピンとスパイラルの安定感は健在でした。冒頭とラストのコンビネーションスピンはそれぞれ+0.80,+0.70のGOEを獲得。レベルも全部3~4で揃えてきてます。
3Loの回転不足がなければ自己ベスト更新だけでなく、130点台乗せもいけたんちゃうかと思うと残念ですが、それはこれからリベンジすればいい話ということで、何はともあれ銅メダルおめでとう、おめでとう。
・ジョアニー・ロシェット(カナダ) 191.29(2位)
SP:「Summertime」 FS:「アランフエス協奏曲」
とにかく安定感。その一言に尽きるな、と。それほどジャンプに高さは出ないものの、抜群の軸の正確さと流れの良さで、もりもり加点を引き出します。3Lz+2Tは、3Lzの着氷が乱れて加点取れませんでしたが、他は軒並みプラス1.00以上。スピン・ステップでも大半でレベル3~4、特にステップでは+0.90のGOEを稼ぎました。
FSもご同様。ルッツとループにミスが出ましたが、他はきれいに。全てのスピン・ステップでレベル3以上を獲得し、今回もステップはGOE+0.80、スパイラルも+1.20で、ジャンプに負けず大きな得点源になってます。ジャンプミスのぶん、FSの自己ベストにはわずかに届かず、ですが、総合で初めての190点超えを果たして銀メダル。表彰台でしげしげとメダルを眺める写真を見て不肖栗ご飯、初めてロシェット姉さんを心底可愛らしいと思いました。いやさ今までは雄雄しいとか兄貴とか、そんなんばっかだったもんで。
ひとつだけ、注文を付けるとしたら、スピンはまだまだ力でぶん回してる感じで、スピン好きとしてはそれじゃイカンよ、まだまだよと思ってます。GOEもSP/FS通して+0.30~0.40に留まっていて、さすがの姉さんも筋力だけで解決できない問題があったかと(笑)。
それはともかく、銀メダルおめでとう、おめでとう
・ヨナ・キム(韓国) 207.71(1位)
SP:「死の舞踏」 FS:「シェヘラザード」
3F+3Tは!マークがついたものの高く遠く、3Lzも完璧。SpSqは「足を高く上げるだけじゃないスパイラル」の代表格といえそう。個人的には、彼女のエレメンツの中で一番素晴らしいのは、実は2Aだと思いますね。2A+3T、イナバウアーから、助走なし、と非常にエントランスのバリエーションが豊富で、しかもその全てを流れの中でぽん、と跳んでしまうので、下手すると「あ、いま跳んだ?」と見過ごしてしまうほどに自然。単にオマエがうっかりしてるからじゃないかって? ほっといて。
なので、点数自体はさもありなんとは思いますが、個人的には四大陸ほどのインパクトは感じられなかったかなぁ。ヨナ・キムの演技といえば、エモーショナルな動きで魅せつつも常にクールに抑制された部分を持ち合わせているのが大きな特徴であり、魅力でもあったと思うんですね。それが四大陸のSPの時にはまるで真逆をいく演技で、「あのヨナ・キムがここまで感情をむき出しにして滑るなんて!」という新鮮な驚きがあった。けれども今回の世界選手権では、その激しさが再び覆い隠されてしまった。クールであることも、また別の魅力のひとつといわれればそれまでですが、やはりこの「死の舞踏」には、つんのめりそうな荒々しさがよく似合います。
そういう意味では、FSの「シェヘラザード」は、”抑制された演技”がより映えるプログラムではありましたね。過去の「シェヘラザード」たちと比べるとちょっとかすむなぁという思いは最後まで払拭し切れませんでしたが、それでもようやく初見(スケートアメリカ)のインパクトを超える、完成された演技が見られたなと思いました。
や、まあ、スポーツの側面から見ると、厳密には「完成」ではないですが。3Sのパンクと、ラストのスピンが無効になったことで、最後の最後でミソがつきましたね。サルコウはこれまでの演技を見る限りでも、大得意というわけではなさそう。ある程度、予想され得た失敗ではあったかもしれませんねー。
スピンの失敗については、そのパンクしたサルコウの直後のCoSp、これをフライングスピンにしなかったのが主な原因ですね。レイチェル・フラットの失敗と同じような理由ですが、キムの場合は、これまでの試合では、
- FSSp → 単一姿勢
- FCoSp → フライング
- CCoSp → コンビネーション
という判定を受けるようにプログラムを組んでいたのですが、今回はFCoSpを何故か、普通のCoSpにしてしまって、その結果、
- FSSp → 単一姿勢
- CoSp → コンビネーション
- CCoSp → フライングでない(要件外)
こういう具合で、最後のスピンが点数外になってしまったわけですね。
何で今回に限ってこういう構成にしたのか。最初のうちは、サルコウを失敗して曲から遅れたのであわててしまい、跳び上がらずにそのままスピンに入ってしまったのかなー、と推測していたのですが、このあいだ発売された『ワールド・フィギュアスケート』を読むと、どうもそうではなくて、最初からフライングせずに、普通のコンビネーションにするつもりだったらしい。そしたら最後のスピンが無効になったのでびっくりした的な事を言ってました。
って、これじゃ誰も将軍のこと悪く言えたもんじゃないよ(笑) みんなうっかりミスしてんじゃないよ やっぱり新採点方式は複z・・・・・・・(以下略)
とにかく(笑)
オリンピックの前に、絶対に世界選手権を制覇しておきたいという目標を実際に達成したことは、四の五の言わずに賞賛したいと思います。金メダルおめでとう、おめでとう
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というわけで女子の感想、これにて完了です。全体を見渡すと、最上位は予想通りの顔ぶれ(順位については各々思うところあるとは思いますが)、5~10位には新顔とベテランとが並びましたね。
2ケタ前半にはあと一歩だった人と無念すぎる人が。ほんとにコストナーにはどんな言葉を掛けたらいいかわかりません。でも4月のミラノのガラには元気に出ていたようなので、うまく来年に向けてリスタートしていることを祈りましょう。
あと個人的には下位選手のファイティングスピリッツが実は今回の一番の見どころだったんじゃないかと思います。みんな素晴らしかったですねー(←樋口地蔵尊の口癖が乗り移り気味です)。選手の皆さん、お疲れ様でした。
ってことで、おしまい。
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